「どうする家康」猿に続いて、白兎まで女狐の毒牙に!?第38回放送「唐入り」振り返り (7/11ページ)
殿下は罪もなき朝鮮国へ兵を出され、国財を浪費して臣民を苦しめておいでじゃ。これを狐憑きと言わず何と言われるか!」
「むむむ……」
「何がむむむじゃ。よろしいか。ことわざに『人を食おうとした亀が人に捕らわれる』と申しましょう。朝鮮や明に気をとられて、肝心の日本国を失ってはお話しになりませぬ。それが解らぬ殿下でもなかろうに、だから狐が憑いたと思うたまでよ!」
完膚なきまでに論破されてしまった秀吉は、ぐうの音も出ず、負け惜しみを漏らしました。
……関白事の理非はともあれ。主に無礼をいふことやあるとて。已に腰刀に手をかけ給へば。織田常真前田利家などおしふさがり。弾正こそ立といへども退かず。某年老て惜くも侍らぬ命を。めされむにはめされよとて座を立ねば。 君徳永有馬の両法印に命じて。長政を引立て次の間につれ行て事済けるとなり。秀吉も後には悔思ひけるにや。みづから渡海の儀はやみけるとぞ。(岩澗夜話別集。天元實記。)……
※『東照宮御実紀附録』巻七「浅野長政停秀吉之外征」
「黙れ黙れ!事の理非はともかくとして、主君に暴言を吐くなど許さぬぞ!」
完全に怒り狂った秀吉は、腰の刀に手をかけました。それを織田常真(織田信雄)と前田利家が慌ててとどめます。
「弾正、立て!」
その場を収めようと長政に退出を命じますが、長政はそれに従わず、言い捨てました。
「もう十分に長生きしたゆえ、もはや命も惜しうない。殺すなら好きにすればよかろう!」
そう言って立ち上がり、長政は退出。後から徳永寿昌と有馬規頼の二人に命じて、形式的に引き立てさせます。
一度始めた戦を簡単にはやめられないものの、ともあれ秀吉自身の唐入りは取りやめになったのでした。
劇中ではまるで家康の説得によって思いとどまったような描写でしたが、むしろ先陣を切りたいイケイケ派だったようです。