最終話【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第33話 (15/15ページ)

Japaaan

恋する、優しい瞳の花魁だ。

(一体どんな気持ちで、芳さんはこれを・・・・・・。)

傷は決して癒えていない。

彼の中には見えない痕が死ぬまで残るのだろう。

それでも今日のように、江戸に陽光が燦然と輝く限り、

(前に前に、進むしかねえ。)

拗ねても引っ掻いても、結局人というものは明日に向かう事しかできやしないのだから。

そうだよな。・・・・・・

「なア、紫野花魁」。

佐吉が絵に向かって親しみを込めて呼び掛けると、紙の中の花魁が懐かしいくしゃくしゃの笑顔で笑った気がした。

歌川国芳「風俗女水滸伝 九紋龍史進」大英博物館蔵

(了)

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