【小説】誰かと誰かと私のあなた/恋愛部長 (11/13ページ)
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恋愛部長の「ダメな恋ほど愛おしい」
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「佑、・・・・・・最近何かなかった?」
望海はさりげない風を装って聞いてみた。だが、佑は「べつにー」と答えるだけだ。
「あ、そうだ!」急に佑が身を起こした。「ごめん、こないだお前の誕生日の日ドタキャンして」
佑は、かわいらしい目つきで心底すまなそうな顔をする。
「ホントはさ、いっしょに買いに行くつもりだったんだよな、プレゼント」
え・・・・・・?
不意に、頭の中に、白い光を放つ石が浮かぶ。ちょっとドキッとして、食器を洗う手をとめて振り返った。
「玄関に、棚を買ってやろうと思ってさ」佑はのんきな調子で続ける。
「お前んち、玄関せっまいじゃん。そこに小さい靴の棚置けば、結構収納できると思うんだよな。どう? いいアイディアじゃね?」佑は、手で括弧の形をつくって玄関を振り返る。
「た、たな・・・・・・?」望海は思わず聞き返してしまう。
「俺の部屋にあるいらないサンダルとか置いといてさー、近所のコンビニとか行くとき履くわ。便利だろ」佑はまだ自分のアイディアに勝手にうなずいている。
「今度、ニトリとか見に行こうぜ」佑はニカッと笑って望海を見た。
サナエにはダイヤの結婚指輪を渡すくせに、自分には、いらないサンダル置き場の靴の棚。そう思うと、怒りを通り越して、可笑しくなってきた。
同じじゃない。サナエと自分は同じだと思ったけれど、ちっとも同じじゃない。佑が相手にする女の中にも序列があって、望海は多分、はてしなく下位ランクだ。どうでもよくて、便利で、そしてやっぱり、どうでもいい。
男は、どうでもいい女には、金も時間も使わない。ただただ、尽くされるのを享受するだけ。そして、本当に喜ばせたい女のためだけに、使うのだ。金も時間も、気持ちも。
望海は、佑をぎゅっと抱きしめた。
――――馬鹿なことだとは、わかってる。そんなことはわかっているけど。
この、人よりちょっと高めの体温が好き。このなめらかな肌にさりげなく香る体臭が好き。こうして、抱きしめている間に感じる胸の鼓動が好き。
それだけで、十分だ。望海はそう自分に言い聞かせた。