【小説】時間の奴隷/恋愛部長 (11/11ページ)
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恋愛部長の「ダメな恋ほど愛おしい」
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片思い
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彼氏
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失恋
そもそも頭と心の中に、そのためのスペースがなかったのだ。
スマホが明るく光っている。さっきから何度目だろう。どんどん増えていくメッセージ。
今付き合っている恋人の永井からのものだというのは、スマホをのぞかなくてもわかる。
「はあ、・・・・・・めんどくさい。いまはそれどこじゃないっつの」
思わず、声が出る。
それを聞きつけた隣の席の若い後輩が、パーテーション越しに顔を出した。
「あー、また彼氏っすか? ダメですよ~大事にしないと。そのうち言われますから。俺みたいに」
「なんだっけ、仕事と私とどっちが大事? だっけ?」
「そうそれっす! まさか俺、そんなマンガみたいなセリフ現実に言われるやつがいるなんて思わなかったっす。しかも自分、言われてるし」
「はー、それ、マジでうざいね。彼女には悪いけど」
「なんか忙しい時って、ちょっと隙間時間あっても、恋愛とかに頭切り替わらないっすよねー。なんか仕事のこと考えたかったり、職場の人と話したかったり」
「わかる! なんかモードが上手に切り替えられないんだよね。なんか甘いムードとかになるのが、無理。いまそれどこじゃないって感じで」
そう言いながら、また一真の顔が浮かんで胸が痛い。そうだ、きっとそういうことだったんだろう。
「なんだろうね~忙しいって。『心を亡くす』って書くんだよねー。人間変わっちゃうもんだね」舞はうーん、と伸びをした。
「こういう人間と付き合って、うまくいく人っているのかなー?」
後輩は、賢そうな目をくるくるさせて、にこっと笑った。
「そりゃ、忙しい人同士っすよ?」「ああ、なるほど・・・・・・」「先輩、今日仕事終わったら飲みますか!」「え、あんた彼女に連絡は?」
「いいのいいの。忙しい時くらい、自分のしたいことを優先させたいじゃないすか」さらり、と言う後輩の口調にちょっとドキッとしながら、舞は、あわててパソコンに向かった。
「OK、終電逃したら、朝まで飲むぞー!」
舞は、ほんの少しだけ明るい気持ちになって、キーボードを勢いよく叩いた。昔の自分を、記憶の彼方へ振り払うように。(恋愛部長/ライター)
(ハウコレ編集部)